2012日。2月14日。
嫁と自殺について話していた。日本も韓国も自殺が多い。自殺率でいえば、日本を上回って韓国の方が多い統計も出ている。
韓国人は強いイメージがあるが、嫁も韓国人、その友達も韓国人という現状の中、繊細さを感じることが多々ある。
東京ではよく見る光景だが、韓国人の女性同士が腕を組んで歩いているのを見たりする。昔は不思議に見ていた光景も、今なら理解できたりする。
単純に、相手を知りたいからだ。触れ合って相手との距離感を計りたい。もっと言えば、相手の気持ちを分かりたい。そんな心情があるんじゃないだろうか。
前に嫁と、劇団で漫才や芝居をしている相方の大田と3人でコンビニに寄っての帰り道でのこと。大田の並んでいるレジが混んでいて、俺の買い物は終わり、コンビニの外に出て俺だけマンションに帰えろうとした。
振り返ると嫁は太田を待っている。歩いて1分の場所にマンションがあるし、先に帰ろうと言うが嫁は怒った。
「3人で帰るのが常識じゃん。よしオッパーだけ残して帰るなんて可哀想だよ」
後で聞いたら、韓国ではそういう状況で友達や家族を待つのが当たり前だそうだ。国も違えば、文化や常識も違うんだと考えさせられた出来事だった。
自殺する者は、何を言っても聞かないと思う。俺も若い時に2回自殺未遂した経験があるから分かることだが、切羽詰った時にどんな優しいことを言われても耳に入らない。大切なのは、自殺までいく精神状態をどれぐらい緩和してあげられるのかということかもしれない。
本の出版、舞台公演や路上イベント、更にネット文化で出会った心に傷がある人と直接会い沢山触れ合ってきたが、自分が無力だとつくづく感じさせられた。
2010年から始めた路上イベント「幼児・児童虐待反対イベント笑顔」では、有り得ないぐらいの精神状態の方々と話し合ったが、笑顔で生きろなんておこがましくて言えないと感じたぐらいだ。
「どうして笑顔で生きなきゃいけないんですか?」
恨むような目でそう聞かれたこともある。確かにそうだ。昔からの友達でもないのに笑顔でいることを強制しても受け入れる訳もない。でもイベントは形を変え品を変え続ける。継続は力なりで、12回やったイベントで出会った方々が自分の本当にやりたいことを掴む報告をしてくれたりしたからだ。
嫁が6年前にこんなことを言ったことがある。
「日本に来て一番びっくりしたのは、日本人の女性は素直に相手を褒めるでしょ?可愛い〜とか、それ似合うねとか、男でもそういうこと言うじゃん。韓国じゃ有り得ない。私もいいなって思っても自分のプライドとかが邪魔して相手を褒めたことないもん。心で思っててもね。あれって日本文化の素晴らしいところだと思う」
不思議なもので、こうして外国人の嫁を娶ると逆に日本というものを意識することになる。政治家は嫌いだが日本人は好きだ。それも礼節義を持った日本人は特に。
昔は劇団の仲間しかいなかったが、今では俺にも家族ができた。こうして国際結婚シリーズをネット上でアップしているだけで、自殺防止の何かになっている現状もある。
先日。
あるサイトで俺の作品を読んだ地方在住の日本人女性の方が、こんなメッセージをくれた。
「10年前にアメリカ人と国際結婚していましたが、旦那の暴力で鬱病になり離婚しました。今も病気は完治していませんが、毎回楽しく作品を読ませて頂いています。こんなメールは失礼かとも存じましたが、言わせて下さい。貴方様の作品で自殺を思いとどまったんです」
たまたまパソコンを開け作品を書いていた時にメールが来たので、暫く彼女とメールでやり取りをした。聞けば、彼女は39歳でニートだそうだ。実家が裕福な家庭だということもあり、生活には困っていないみたいだが、精神はかなり病んでいた。
今の生活をどうにか変えたいと思いもがいていたみたいだが、たまたまネットで俺のブログを見つけ読んでくれたみたいだ。彼女は俺の嫁が言った言葉に相当やられていたみたいだ。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓彼女が送ってきた嫁語録↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「それは私の運命だ。もしそれで私が死んだら骨は海に撒いて。お墓なんかあったらあんたはいつもお参りに来て昔を思ってただ泣くだけだから。その先は泣いて小説もかけなくなって酒に溺れて死んでいくだけだでしょ?だから私が死んだら、誕生日だけ思い出して泣いて。それだけでいいから。あんたは世界を変える器を持ってるんだから、芸事を全うしなきゃダメ。アラッチ?(分かった?)」
「ねぇ、私は20歳まで男性と付き合ったこともないし、一生一人で生きてもいいと思ってたの。でもあんたと出会って愛する意味を知った。命懸けであんたを守りたいと思ったの。イベントや舞台で一生懸命やってる姿も見てきた。お金にもならない人の為っていう行動もいっぱい見てきたよ。でも偽善を遣り切れば真実だって言ってるあんたに遣り切った後の笑顔を見て、それがあんたなんだなって思ったの。あんたはそのまま突っ走っていけばいい。真っ当の旗を振って走るなら、私は応援するから。それでいいじゃん」
「この先お互い国が違うから大変なこともあるかもしれない。でもその大変さもひっくるめて笑って生きていこうよ。私はどの国で暮らそうが、必ず興市の傍にいる。それが南極でも、無人島でも。もっと言えば地獄でも。興市がいれば地獄でも笑っている自信があるの」
「私ね、来世でも必ず興市を選ぶと思う。お互い生まれ変わって性別も国籍も違ったとしても、私は必ずあんたと結婚すると思うの」
「お客さんは初めて会う人も多い。だから私はいつも親身になってそのお客さんの為だけに接客するの。私が風邪で調子悪くてもお客さんにはそんなこと関係ないじゃん。私が愛想悪かったら初めて会ったお客さんは気分を害してしまうし。だから毎日笑顔で接客するの」
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓そして↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
彼女は嫁の言葉をすべてメモ帳に保存し、毎日読んでいるようだ。今までのシリーズで自分が感動したフレーズは丸暗記しているらしい。嫁のファンになった彼女はやり取りの最後にこんなことを言っていた。
「もう一度本気で愛せる男性と巡り合いたいので、今のこの生活から必ず抜け出します。仕事もして生活が安定したら、東京に行って奥様に化粧品を選んで貰いたいです。いつも愛する清さを思い出させて下さってありがとう御座います。どうぞ奥様に宜しくお伝え下さいね」
今まで俺一人で行動していた段階から、嫁も間接的にでも自殺防止の何かに役だっているみたいだ。
こうして誰かの笑顔のきっかけになるなら、この先もこのシリーズを続けていこうとガッツポーズをした日だった。
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