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アラタコウ(工藤興市・くどうこういち)のブログ

国際結婚シリーズ、エッセイ、イベント関連、小説を載せています(^O^)

国際結婚をしてみたら――17歳年下、韓国人の嫁との生活。第424話※お店作りの話し 23

2014/06/22

「どう?少しは調子よくなった?」

 首を押さえている俺は無理に微笑んで見せた。

 昨日はイベント【あなたをめっちゃ褒めます】をやった。

 このイベントは、路上でやっているイベントなので、車の排気ガスや天候などにやられて、次の日に寝込むことも多い。

 それに、人を褒めるというのは凄く体力を使うことで、ヘビーな人生を歩んできた人達に出会えば出会うほど、話し過ぎて声が枯れてしまうのだ。

 今回も寝込んでしまった。喉は大丈夫だが、やはり3区(阿佐ヶ谷、高円寺、中野)で活動をしたせいか、精神的にまいってしまった。

 中野駅に向かう前に、高円寺で74歳のお婆ちゃんと出会った。彼女は旦那さんも2人のお子さんも癌や事故で亡くしてしまった人で、重そうに荷物を持っているのを手伝って褒めてあげた人だった。

 白髪の髪を一本に縛っていた彼女は毛が薄くて禿げていた。

 それを気にしている彼女は「こんな禿げたお婆ちゃんの褒めるところがありますか?」と言っていた。

 総入れ歯なのか、話すたびに口をもごもごしている。彼女を褒める言葉を探していた俺は、感じたままを彼女にぶつけてみた。

「話を聞いたらヘビーすぎてどう褒めていいのか分かりません。なので、パントマイムを入れながら褒めてみたいと思います。タイトルは希望です」

 彼女の人生を俺なりに解釈しパントマイムで演じた。初めて出産して嬉しかったこと。それを見ている旦那さんがいてくれることが嬉しかったこと。子供が成長し、家族が幸せになっていく過程も表現した。

 ここで大切なのは何かと考えた。彼女の最愛の家族は不幸な死を遂げている。彼女が俺のマイムを見て家族を思い出し悲しみに暮れないようにしなければならないと思った。

 彼女が幸せの絶頂にいた時に――俺がどれぐらい不幸な経験をしていたのかを彼女の人生にリンクさせ自虐ギャクを交えながら言葉で伝えた。

 普通マイムは肉体表現だけだが、話芸マイムも状況に合わせてやっている。

「それでは、これからち○こが伸びますよ。引いたらごめんなさいね」

 エロネタをするときは、路上なので特に話すことも重視いている。それをやらないと、ただ通り過ぎる人は頭のおかしい人だという印象を与えるのではないかと思うからだ。

 彼女の旦那さんは公務員だった。肝臓癌で亡くなった旦那さんの介護は相当大変だったそうだ。旦那さんが亡くなってすぐ、留学中の長男はアメリカで銃で頭を打ち抜かれ、そして娘は飲酒運転の車にはねられて亡くなったそうだ。

 この話は彼女の創作かもしれない。だが、涙ながらに過去を話す彼女の目を見ていると、嘘だとは思えなかった。

「あなたは政治家さん?それとも宗教家さん?」

 話芸マイムを演じ終えた俺に彼女が聞いた。 

「違います。俺は地球人ですよ」

 談笑を積み重ねた後に、彼女が自宅でスイカでも食べないかと誘ってくれた。お店を作るならお金もかかるからと、自分が持っている土地の一部を売却してもいいとも言ってくれた。

「こんな容姿のお婆ちゃんにやりたいって言ったでしょ?久しぶりにパパさんのこと思い出して体が熱くなったわ」

 彼女に一番ヒットした言葉。それは嫁がいなかったら裸で抱き合って眠りたいという言葉だった。

「俺には貴女の容姿なんて関係ないです。俺はどうしようもない変態かもしれません。例えば、貴女が手足がなくても俺は興奮するでしょう。目が見えなくても、話すことができなくても、俺はバイセクシュアルというちょっと変わった人間なので、貴女に惹かれてしまうんです」

 彼女には俺の性癖も話していた。会話を進める中で、彼女はお父さんの影響でバイオリニストになりたかった過去があり、友達にレズビアンもいたと聞いていた。

 彼女にとってどんな言葉が最適なのかと考えていた俺は、エロスを交えた会話も踏まえ話し続けたのだ。

 顔を赤らめてはにかむ彼女は、何度も俺を自宅に誘った。丁寧に断りながらも、彼女にこんな提案をしてみた。

「俺は何歳になっても諦めないことが、人間の美徳ではないかと思うんです。ずっと頭が禿げてるから恥ずかしいと言ってたけど、お金持ちなんだし特注のカツラをつければいいんじゃないですか?それに女なんだから、口紅ぐらい塗りましょうよ。もっと綺麗になって、次に俺と会う時にはもっと、もっと抱きたいと思える女になって下さいよ」

 彼女の目が輝いた。「あなたの奥さんにも会ってみたいわ。あなた浮気してるでしょ?」

 どうしてかと聞けば、女心をよく分かっているから、愛人が沢山いるんだと思ったそうだ。

「俺は嫁しか愛せないですよ」彼女に胸に彫っている嫁の名前の刺青を見せた。

「昔は握手代わりにセックスしてましたけど、嫁と出会った8年前から、彼女だけなんです。だから、覚悟して下さいよ。もし今度会った時に俺が貴女を抱いちゃったら、嫁と殺し合いの大喧嘩になちますよ」

 彼女をかまってみた。すると「いいわよ。受けて立ちます」と舌を出された。

 別れ際、彼女は今日は何年振りかに化粧をして、旦那さんや子供達の仏壇の前で笑ってみますと言った。

「貴女は私に女でいることの素晴らしさを教えてくれたのね。それは、私が女で産まれたからそれを真っ当しろと言っているように感じました。違う?」

 抱き合った俺達は泣き合った。彼女がまた何十年振りかに絵を書きたい。それも俺の肖像画を――そんなことを言ってくれたので、更に泣いた。



 体中の関節が重く、寝ては起きてまた寝ての繰り返しの俺に嫁が言った。

「今日見にいくはずだった不動産屋の内見は中止にしたから」

 そうだった。この物件で決めようかと思っていた店舗の内見の日だった。

 申し訳ないと謝る俺に彼女はご飯を食べてゆっくりしてと言った。

 リビングには手料理がある。「こんなに沢山作ってくれたんだ?お金かかっただろ?金もない時にごめんな」

 2人とも働いていない今の状況。店作りの為に1000万の借金をして物件を探しているが、中々物件が決まらないので、生活費だけでその借金を使ってしまい950万になっている。

 余裕をかましてられない。テーブルにある料理を食べるのも躊躇してしまう自分がいた。

「熱いうちに食べなよ」彼女が言った。「金にもならないことばっかやってごめんな」頭を下げると、それは違うでしょ? と詰め寄られた。

「メングがやってる活動は、お金に変えられないものを掴む為の活動でしょ?お婆さんも女としての自分を取り戻してくれたし、イベントには沢山の友達や支援者が集まってくれたんでしょ?それでいい話なのに、金ぐらいのことでうだうだ言い出すなよ。億の借金もしてないくせに小さいこと言うならもうこれ捨てる」

 謝って料理を口に運んだ。旨い。ホッとした。

「メング、自分の旗振って生きてるんだから、一歩も引くなよ。私は韓国人だけど、メングの中立に惹かれて結婚したんだから」

 中立って何だと聞けば、常に人と向き合う時にフラットでいるその精神だと言われた。

「釜山の女はこの人だって思ったら、とことん付き合うよ。メングが真っ当なことをやってる限り、未来が地獄でも笑って付き合ってあげる。それが夫婦ってもんでしょ?」

 やばい、泣きそうだ。

「人の幸せって、どれぐらい相手を受け入れるのかだと思うの。だって、皆自分が一番大事でしょ?でも自分の命を賭けてまで愛するのってすごいことじゃん。私はね――」

 彼女が俺を呼んだ。耳元に手を当て「メングの為なら死ねるから」と言った。

 彼女の顔を覗き込んだ。

 なんて、笑顔だ。

 真っ直ぐに俺を見つめる彼女の目は一点の曇りもなかった。

 先月、彼女の郷里釜山で三週間過ごしたが、俺を否定する親戚にも喧嘩腰だった彼女……。

「私の旦那に文句があるなら、外で喧嘩しよう。その焼酎の瓶で頭叩き割ってやるからな!」

 いつも俺の味方でいてくれる嫁は、まさにチング(韓国語で、親友、戦友の意味がある)

 疲れ果てていた体も、心が幸せで満たされたお蔭で復活した。




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国際結婚をしてみたら――17歳年下、韓国人の嫁との生活。第423話※【あなたをめっちゃ褒めます】2014年6月21日(土)中野駅北口17時――関連記事

2014/06/20

 俺の住む杉並区の市長選挙が近いからだろうか、駅前の西友の前で、若い男性が選挙活動をしていた。

 明日のあな褒め用で使うビニールシートを買いに出かけていた俺は、彼の言っている言葉に足を止めてしまった。

「――集団自衛権に騙されてはいけません。あの法案は、自分の子供が戦争に駆り出される危険性もあるんです」

 彼は集団自衛権が未来の日本にとって、どうマイナスになるのか話していた。彼から離れた場所には、宣伝用のチラシを持ち配っているおばさん二人がいた。

 そのおばさん二人に文句を言い出したいかついおっさんがいた。

 彼は、集団自衛権が今の日本には必要で、演説している彼が間違っていると言っていた。

 声の大きな大柄なおっさんから責められたら、小柄のおばさんは何も言えないだろう。かなりビビッていた。

 通り過ぎる人達も恐がっているし、当の本人である彼もマイク越しに状況を気遣っているのが分かった。

 おばさんが可哀想だとは思いながらも、買い物をしに店に入った。

 買い物を済ませてから、店の前まで出ると、まだおっさんがおばさんを責めていた。

 自転車を駐輪所から出して帰ろうかと思ったが、うつむいているおばさんが可哀想に思えて、ついおっさんに言ってしまった。

「あのさ、そのおばさんを責めるのはおかしくない?あの演説してる人が主張し終わったら、彼に思いのたけをぶつけるべきなんじゃないの?」

「なんだ、お前?」黒いTシャツをまくって喧嘩腰のおっさん。日焼けした黒光りしている太い腕は恐かった。

「この人達はあの候補の応援団でしょ?その人に不平不満を言っても仕方ないと思いません?国を変えたい気合があるなら、演説が終わった後にあの彼に言えばいいじゃないですか?彼と喧嘩をして納得できなかったら、来年選挙に出て国民に問えばいいでしょ?杉並市長になって、ゆくゆくは総理大臣になればいいんじゃないですか?」

 考え込んでいるおっさんは、背負っていた荷物を下に置いて言った。

「おめー生意気なんだよ。ちょっとその駐車場に来いよ」

――うっそーん! これ、絶対殴り合いの喧嘩じゃん。

 明日はあな褒めの日なのに、何で俺はいつも暴力絡みの人生になってしまうんだろうかと、自分の血を責めた。だが仕方ない。駐車場に二人で向かった。

 一時間後。

「明日は中野駅の北口なんだな?十五時なら行けるんだけど、その時間帯って難しいの?」

 上機嫌のおっさんは、大きく手を振り去って行った。

 幼児虐待反対イベント【笑顔】を主宰している時も、ヤクザが場所代を払えと脅しをかけてきたことがあった。

 二十三区を回るあな褒めも、酔っぱらって絡んでくる人もいたし、いきなり頭を叩かれたこともあった。

 俺は真面目に幼児虐待が悲しいからこの場所にいるのだという主張をしているのだが、それが遊びで座っていると勘違いしている人もたまにいた。

 だが、そんな暴力的な人間に対応する俺の技がある。

 それは――

 単純に、相手を深く、更に深く分析するのだ。

 相手にとって何が一番ヒットする言葉になるのか、空気を読んで言い、時間をかけ自分は貴方の敵ではないと分からせる……。

 これは、参考資料↓

 韓国語のできない俺が、三週間も韓国に滞在した――韓国滞在記の中の詳細。

 感謝の気持ちをカラオケ店で表現したあの話ね↓

【国際結婚をしてみたら――17歳年下、韓国人の嫁との生活。第410話】
 
http://rdkudou.blog65.fc2.com/blog-entry-2587.html



 日本人は悪い人ばかりじゃないけど、中には話しても理解し合えない人もいる。

 俺は路上で勝手に座っているだけだし、あなたをめっちゃ褒めるって看板だしてるから、暴力には笑顔で接したいところもある。けど、それが無理なら戦うしかない。

 俺なりの戦い方でね(笑

 今回のおっさんには「○んぽが大きそうだけど、触らせてもらっていいですか?」そんなことを言いながらアソコを触った。おっさんは既婚者だけど、自分が隠れゲイではないかということで悩んでいるらしかった。

 彼にとっては、エロ相談がヒットしたのかもしれない。

 なた褒めを宗教活動みたいに勘違いしている人も多いけど、そうじゃないんだよね。

 むちゃくちゃな経験をしてきた俺だから、どんな人でも対応できるという自信があるだけ。

 俺はこんな人↓

 本名・工藤興市。小説家としての名前はアラタコウ。

 四五歳のバイセクシュアルでAB型。老人ホームでのアルバイトをしながら、AV男優をしていた時の経験を自費出版し――二百五十万。

 そして、また自費出版で本を出し――百二十万。友達の連帯保証人になり借金を背負わされ、映画作りの失敗もあり借金が合計で二千万になったこともあった。

 ↑

 二十四時間体制で働き続け二〇〇九年で借金は完済\(^o^)/
 
 二千十年にはアステラス製薬のエッセイコンテストで佳作を頂き、その本は【病気が教えてくれたこと】という本の中に一話として収録された。

 嫁は十七歳年下の韓国人の女性。結婚三年を迎えるが、現在無職。

 千万の借金をして韓国料理のお店を作ろうと模索中……。

 ネット上で言えるのはこれぐらい。

 グレーな人生歩んできたので、それは会った人に言ったりしてます(笑

 それと、俺はドラッグをやっている人間とは友達になりません。

 あれは魔薬です。

 悪魔の薬です。

 人間でいる為には、酒の力は借りていいけど、悪魔の薬に依存してはいけません。

 以上かな。

 あな褒めって、結局はお互いの個人情報を晒し合って、共通点を見つけあうことなんだよね。

 心理カウンセラーが路上で、無料で話を聞いているだけって感じかな。

 明日は何人か友達が来てくれるという報告を聞いたし――

 おっさんも都合つけて来てくれるかもしれないし――

 テンション上げて、触れ合った人達を褒めまくりたいと思います。


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国際結婚をしてみたら――17歳年下、韓国人の嫁との生活。第422話※【あなたをめっちゃ褒めます】2014年6月21日(土)中野駅北口17時――関連記事

2014/06/19

「何やってるの?」嫁が聞いてきた。

「土曜にあな褒めするじゃん。夕方だけどまた熱中症にならないように体鍛えようと思ってさ」

 リビングを締切り暖房をつけ、腹筋や、ストレッチをやっている俺は全身汗だくだ。パソコンやテレビが壊れそうと心配する嫁に我慢しろと言った。

 東京都23区を回り、路上で触れ合う人を褒めるというこの個人イベント――あなたをめっちゃ褒めます。これは、天候に左右されることも多い。

 ガード下で雨を防げればいいが、そうではない立地だと、移動するしかない。

 冬は雪も降るし、夏は太陽にやられる。

 嫁は、あな褒めをするのはいいけど、もう少し体調に気遣って欲しいといつも言っている。どうしてかと言うと、傘を差して話を聞いてくれた女の子と話すのに、びちょ濡れで話を聞いたことがあったからだ。

 その子は、宗教の勧誘と思って俺をからかったのが始めらしいが――

 19歳なのにレイプされて子供が産めなくなったのが可哀想で、彼女の気持ちに寄り添う手段が、傘を畳んで永遠に話を聞くという行動だったが、彼女は申し訳ないと言いながらも俺の勢いに押され話し続けた。1時間雨に打たれ続けていた俺は、結果的に――

 肺炎になりかけた(笑

 夏の日に直射日光を浴び過ぎて熱中症になったこともあった。それも、リストラされた50代のおじさんの話が可哀想すぎて、敢えて太陽に当たる俺を見せながら――あなたの心に寄り添っている。そんな主張をしてみたのだが、その気持ちは伝わったようで、最後に缶ビールを奢ってくれた。

 お金もない彼から奢ってもらったあのビールは最高に旨かった。

 でもきつかった。熱中症になり三日間うなされたから。

 俺は性格的にやり過ぎるところがある。特に2回自殺未遂をして助かった過去があるから、自殺しようとしている人と触れ合ったら、死ぬ前にまだやることがあるんじゃないかと話し込んでしまうのだ。



 ジョギングが終わり帰って来た俺に嫁が手招きをした。

「日焼け止めのいいものがあるから買ってきたよ。あとね、韓国のいい栄養剤も明日買ってくるから、それも用意しとくね。それと、前に夜のあな褒めで酔っ払いに絡まれてTシャツの首が伸びたじゃん。それを防ぐ為に堅めに作ってるTシャツも用意した。それと、これはいいと思うんだけど――」

 彼女を抱きしめた。「汗臭くてごめん」

「もっと、色々用意したから見せたいのにー」

「分かってるよ。お前はこの3年いつも俺がむちゃするのを見続けてきたじゃん。俺があな褒めやるから動くって言い出したら、1回も否定はしなかっただろ?そこに相手を思う真っ当な思いがあるなら、突き進んでって言ってくれてたよな?今回もそんな思いでこんなに品物買ってくれたんだな」

 私のことよく分かってると言う彼女に頭を下げた。「今はお店作りのことで贅沢できないのに、こんなに買わせてごめんな」

 俺達の理想郷を作ろうと、店を東京都内で開こうと思っている。だが、いい物件に巡り合っていない状況化の中で、仕事も辞めて奔走している俺達の生活費は借金だ。

「メングは偽善もやり切れば真実だって言い続けてるでしょ?それを常に実行してるじゃん。それって嘘がなくて好きなんだよね。あな褒めで死にかけたことも沢山あったけど、その行動で救われた人も大勢いたでしょ?この活動は絶対日本を変えると思うの。それに韓国もね。もっと大きな活動になって世界を変えてよ」

 そんな器じゃないと言うと「そうだった。メングは加齢臭きつめのただのおっさんだった」と切り返された。そして「今回、彼女が来てくれたらいいのにね」とも。

 実は、中野駅前であな褒めをやると告知まで打ってやる理由がある。

 それは、ある女性にもう一度この場所で会おうと約束しているからだ。

 福島出身の彼女は、東日本大震災以降、放射能を調べ続けている。

「国は事実を隠ぺいし、福島民を殺そうとしている」

 2012年に、千代田区で会った女性だが――

 6カ国語ができる東大出身の女性だった。アメリカでジャーナリストとして活動していたが、日本政府の情報操作の酷さに呆れ果て、帰国した時に出会った。

 すごく、デリケートな問題なので、今ははっきりしたことが言えないが――

 世界が日本をどう見ているのかということを、彼女と話し合いたいと思う。

 土地が放射能で犯され、癌が多発される近未来の日本になったら、どうオリンピックを開くのか?

 ある国のデータでは、2020年の日本は癌患者で蔓延しているというデータもあった。それは、外国人数人の知り合い経由で得た情報だが。

 俺は、国に言いたいのは、嘘がない国にして欲しいということだ。

 福島で小児甲状腺癌が多発している事実を踏まえ、それを世に伝え、どう対応していくのかということを真摯に伝えて欲しいだけだ。――保障に関してもそう。

 政府に言いたい。

 外国との諍いでの対応を主軸にし、放射能で苦しんでいる子供たちをないがしろにするなら――

 そんな政治は必要ない。

 ※

「ペゴパ」嫁がお腹が減ったと言った。

「メング、作品書いてる顔が怖いよ。あと3回は読み直してブログにアップしなよ」

「そんなに怖い顔してた?」

「悪い政治家みたい」

 ハッとした。俺は政治家ではないし、ただのおっさんだ。彼女は、俺がこの記事を書いている横顔をずっと見て判断したのだろう。

 もう止めた。

「何が食べたい?」彼女に聞くと焼きそばが食べたいと言った。

 自転車に乗って西友まで行った。

 夜空を見ながら思った。

――こいつといる時は、旦那でいなきゃ。


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国際結婚をしてみたら――17歳年下、韓国人の嫁との生活。第420話※お店作りの話し 22

 なかなか俺達の理想としている物件と巡り合っていない状況だが、不動産屋を回りながら内見をしていると、いいこともある。

 それは、店を畳む社長さんから直に話が聞けるからだ。

2014/06/18

 明日も新宿の不動産屋を回ろうと決めた俺達は、今日はパソコンで情報をかき集めようと朝から躍起になっていた。

「今日さ、友達と新大久保で会うじゃん?この前行った店のママさんの店で会うことにしようかな?」

 嫁は、夕方から友達と会う予定だ。この前俺が踊ったあの店でご飯を食べたいと言うのだ。

 これね↓

 国際結婚をしてみたら――17歳年下、韓国人の嫁との生活。第415話※お店作りの話し 19

http://rdkudou.blog65.fc2.com/blog-entry-2607.html

 URLがクリックすることができない方々の為に、概要だけ話すが――

 新大久保の不動産屋で紹介されたある店を嫁と見た時のこと。

 そこのママさんは韓国人だったのだが、すごくいい人で、何軒か内見をした帰りに、ママさんの店でご飯を食べて酔ってマイケルジャクソンの音楽に合わせて踊った。

 ママさんも社長さんも、素敵な踊りだったと絶賛してくれた。

 嫁は恥ずかしくて仕方なかったみたいだが、いつもの俺のアホさを記事にした。



 設備投資で2000万もかけた韓国人の20代の男性。焼き立てのパンが売りだった。だが、半年で潰れてしまった――

 体の調子が悪く、店を畳んだら苦労かけた妻と旅行がしたいと言っていた60代のラーメン屋の親父――

 大手の飲食業の会社の参入で、泣く泣く店を畳んだ30代の居酒屋の社長の女性――

 店を作るというのは、危険と隣り合わせだ。

 嫁の親も俺の親も45歳の素人が料理屋をするなんてハードルの高い挑戦だと思っている。

 俺も内心そうだと思っている。

 だが、挑戦こそ我、美学。

 やってもないのに、最悪なことばかり考えても仕方ない。

 やると決めたからには、ただ突き進めばいいと思ってしまうのだ。

 友達に会いに行く為に準備をしている嫁に聞いた。

「俺って、旦那として最低か?だって、45歳でニートじゃん」

 口紅を塗っている彼女が言った。「先に自分を卑下する言い方しないでよ。そのパターン飽きたんだけど。どうせ、また自分を肯定されたいんでしょ?」

 図星だ。さすが鋭い。

「私の心配なんてする必要ないよ。メングがやりたいと思ったことに興味を持ったんだからさ、あとはやるだけでしょ?」

「お前はそう言ってくれると思ったんだけどな。確かにお前の言う通りだよ。俺の道が間違っていないのか確認したかっただけなんだよね。あのさ――」

 彼女がスマホを持って何かを検索し出した。「これ、これ。これでいいじゃん」

 「これって、前田慶次の漫画じゃん」

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 花の慶次という漫画がある。俺はそれが好きだ。何万の敵の中にたった一人で一騎駆けをしていく描写に痺れたりしている。

 彼女は「飲食業界に素人が喧嘩売りに行くんだから恐がる感情もあるだろうけど、笑って死にに行くぐらいの器でいよう」とよく言っている。それを俺の好きな漫画を持ち出して言いたかったのだろう。

 お前が前田慶次だとかまえば、じゃメングは直江兼続と返してきた。

「お前戦国武将に詳しいな?」と更に返せば「実は、私も前田慶次好きなの」と言われた。

 それじゃ出かけてくると家を出る彼女を玄関まで見送った。

 楽しんできなと声をかけると彼女が笑った。

「メングってほんとAB型だよね。悩み苦しんでもがきまくるでしょ?でもこれだって見つけた時の勢いってパンパないじゃん。やっぱ、O型の私には真似できないよ。とにかく、もっと苦しんで。そうすることで強くなるんでしょ?」

 頷くと「おっさんなのに、どうしてこんなに可愛いんだろう。ウリメングキヨオ」とおでこにキスされた。

 私の興市、可愛いという韓国語だが、彼女にウリ――私の、と言われるとニヤけてしまう。

 彼女を見送って考えた。

 彼女が、俺が店をやりたいと言った時に涙してくれたのは――

「俺は、美味しい料理を出すのは当たり前で、今やってるあなたをめっちゃ褒めますを進化させて店でもやりたいんだよ。生き場をなくした人達をお帰りって迎え入れる実家のような店にしたいんだ。もちろん、お前やお互いの家族を儲けて幸せにしたいっていうのは前提だけどさ。でもな、俺と喋るのが嫌な人には、料理の味でお持て成しをして、俺と喋りたい人にはさり気なくそれに応える店を作りたいんだよ。店を作るってそこにいつもあるってことじゃん。例えば、オープンの時に彼女を連れて食べにきてくれた人が、結婚をしましたってまた子供を連れて食べにきてくれたら嬉しくない?そんな店を作りたいんだよ」


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国際結婚をしてみたら――17歳年下、韓国人の嫁との生活。第419話

2014/06/17

 パソコンで韓国料理の検索をしていると、こんな記事がヒットした。

【釜山ロッテ百貨店光復店に設置されたスパイダーマン像が『もっこり過ぎて』苦情殺到で撤去www】

 嫁は釜山の他の店舗であるロッテ免税店で働いていた過去があるし、今でも嫁の親友も地域は違うがロッテ百貨店で働いている。

 嫁を呼び、記事を一緒に読んだ。

 二人して声を出して笑ってしまった。

 これね↓

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【作品を製作したイ・ウンソク作家は自身のSNSに「スパイダーマン造形物は朝の自然な生理現象を英雄にも適用して偽りと飾りがない姿を表現したもの」と説明した。彼は引き続き「ロッテ百貨店側で特定の部分の変形や撤去を要求してきたが変形よりは作品撤去を決めた」と伝えた】

 俺的にはスパイダーマンも人間っぽくて好きなんだけどなぁ。

 近々、嫁の親友にこの事件の真相を聞いてみたいと思う。




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